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最終更新日 2024年03月31日 


◆ 古文

 
百人一首第27句 2020年06月30日(火) 22時23分  
[ 番号 ]
第二十七句

[ 歌 ]
みかの原 わきて流るる いづみ川 いつ見きとてか 恋しかるらむ

[ かな ]
みかのはら わきてながるる いづみがは いつみきとてか こひしかるらむ

[ よみ ]
みかのはら わきてながるる いずみがわ いつみきとてか こいしかるらむ

[ 現代語訳 ]
みかの原(今の京都府木津川市のあたり)から湧き出して、その地を分けるように流れる「いずみ」川の名前のように、あの人を「いつ見」たからといって(まだ実際にはあっていないのに)、私はあの人が恋しいのだろうか

[ 品詞分解 ]
みかの原【名詞】   わき/て【カ行四段活用動詞「わく」連用形+接続助詞】 流るる【ラ行下二段活用動詞「流る」連体形】   いづみ川【名詞】   いつ【代名詞】 見/き/とて【マ行上一段活用動詞「見る」連用形+過去の助動詞「き」終止形+格助詞】 か【係助詞】   恋しかる/らむ【シク活用形容詞「恋し」終止形+現在推量の助動詞「らむ」終止形】

[ 文法 ]
・みかの原は歌枕。
・上の句(「みかの原」から「いづみ川」まで)は「いつ見…」を導くための序詞。
・「わきて流るる」の「わきて」は「分きて」と「湧きて」の掛詞。
・「わきて」と「いづみ」は縁語。

[ 読み人 ]
中納言兼輔(ちゅうなごんかねすけ) [男性]

藤原兼輔のこと。平安時代中期に生きた貴族で、三十六歌仙のうちのひとり。賀茂川の堤の近くに邸宅があったことから堤中納言とも呼ばれた。


[ 決まり字 ]
3字

[ 解説 ]
みかの原とは現在の京都府南部に位置する木津川(きづがわ)市のあたり。そこに現在でも流れる木津川の昔の名前が「泉川」である。この歌では、序詞や掛詞といった技法をふんだんに使い、まだ会ったことも無い女性への募る憧れを歌っている。平安時代の貴族の女性は親しいもの以外に顔を見せないように生活するのが一般的だったため、このような、まだ有ったことは無い女性への憧れが恋に発展することも珍しくなかったようである。
なお、一度も会ったがその後中々会えない女性への募る恋心を歌った歌という解釈も可能である。
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百人一首第26句 2020年04月30日(木) 23時49分  
このシリーズでは百人一首を順に解説していきます。
ゆくゆくは百首全ての解説を目指します。

[ 番号 ]
第二十六句

[ 歌 ]
小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば 今ひとたびの みゆき待たなむ

[ かな ]
をぐらやま みねのもみぢば こころあらば いまひとたびの みゆきまたなむ

[ よみ ]
おぐらやま みねのもみじば こころあらば いまいとたびの みゆきまたなん

[ 現代語訳 ]
小倉山の峰のモミジの葉が趣を理解するならば、もう一回の天皇のおでかけまで散らずに待っていてほしい

[ 品詞分解 ]
小倉山【名詞】   峰【名詞】 の【格助詞】 もみぢ葉【名詞】   心【名詞】 あら/ば【ラ行変格活用動詞「あり」未然形+接続助詞】   今【副詞】 ひとたび【名詞】 の【格助詞】   みゆき【名詞】 待た/なむ【タ行四段活用動詞「待つ」未然形+願望の終助詞】

[ 文法 ]
・紅葉の葉に心があるならば…と、紅葉の葉を人にたとえた擬人法を使用している。
・高校古文の問題の中で聞かれることはまず無いが、この歌中の「今」は名詞ではなく副詞。
・待たなむ。の「なむ」は願望の終助詞。品詞識別でよく出題される重要語。

[ 読み人 ]
貞信公(ていしんこう) [男性]

藤原忠平のこと。平安中期に生きた貴族で、貞信公は亡くなった後に送られた名前(おくり名)である。行政のトップである右大臣や、天皇を補佐する関白を務めるなど、重職を歴任した。享年70歳と当時としては長命であった。


[ 決まり字 ]
2字

[ 解説 ]
勅撰和歌集「拾遺集」に紹介されており、当時の上皇とともに、紅葉の名所として名高い京都の小倉山で出かけた際に、上皇が子である天皇も見に来るべきだと言ったのを受けて詠んだ歌と記されている。小倉山は現在でも紅葉の名所として知られており、秋には国内外から多くの観光客が訪れる。
なお、決まり字は2字であるが、「を」から始まるのは百人一首の中でこの歌のみである。読み上げられる際は他の「お」から始まる歌と区別できないため。

 
年の瀬の挨拶2019 2019年12月27日(金) 00時23分  
いささか後に弐千十九としも止まむにしはべりたり。ことしもいろいろなることありはべりけれど、つつがなく暮らすことあたひはべりき。來年も良きとしになることあらましはべりたり。良き聖壽禦迎へたまへ。

…と、古文で年の瀬の挨拶を書いてみました。古文翻訳装置で以下の文を翻訳したものです。

もうすぐ2019年も終わろうとしています。今年もいろいろなことがありましたが、無事に過ごすことが出来ました。来年も良い年になることを願っています。良いお年をお迎え下さい。

毎年思っていることですが、今年もやりたいことが多すぎて時間がなかった1年でした。時間は作るものだよ!とお叱りを受けそうですが、作る時間にもましてやりたいことが多い今日この頃です。古文翻訳装置の改良もその一つなのですが、いやはや、どうなることやら。2020年に余り期待せずご期待下さい。

 
風立ちぬ 2019年11月30日(土) 00時15分  
風立ちぬ。いざ生きめやも。

「風立ちぬ」というのは堀辰雄氏の書かれた小説の題名で、私が好きな小説の中の一つです。

同名の宮崎駿監督の映画とか、松田聖子さんの曲もあり、こちらはこちらで好きだったりしますが、今回は小説のお話。

その小説の中に「風立ちぬ。いざ生きめやも。」というような一節が出てくるのですが、これを古文翻訳装置にかけて品詞分解させると以下のような形になります。

風【名詞:風】
立ち/ぬ【タ行四段活用動詞「立つ」連用形+完了の助動詞「ぬ」終止形:立ってしまう】
いざ【感動詞:さあ】
生き/め/や/も【カ行上二段活用動詞「生く」未然形+推量の助動詞「む」已然形+終助詞「や」+終助詞「も」:生きるだろうか】 。

完璧な品詞分解ですね、そりゃあそうです。好きな小説に出てくる一節だからちゃんと品詞分解できるように調整したんだから(いわゆるチート

全く関係ありませんが、「きしゃのきしゃはきしゃできしゃした」とパソコンなどに入力して変換すると、「貴社の記者は汽車で帰社した。」というように、ちゃんと意味が通るように変換できると思います。これを「きしゃにてきしゃがきしゃへときしゃする」なんて入力すると「貴社にて貴社が貴社へと帰社する」と、途端に意味が通らなくなります。入力したい意図としては「汽車にて記者が貴社へと帰社する」です。つまり何が言いたいかというと、よっぽど有名な文章なら事前に対策してしまえばそれなりに訳せるわけです。古文翻訳装置に入力される文章は擬古文を除けば数百年前に書かれた文章ですから、正直対策はしやすい気がしています。全然時間が無くて出来ていませんけど…。

さて、話がそれましたが「いざ生きめやも」の部分の訳について、これは元々フランス語で、私はフランス語の知識が無いのでそこは分からないのですが、堀辰雄氏が誤訳したのか意図があったのかはともかく、少々フランス語の意味とは違った日本語訳になっているようです。「めやも」という言い回しは、品詞分解は上記のとおりで、意味としては「~だろうか、いや、違う」です。つまり「生きるだろうか、いや、生きない(死のう)」となるわけです。これにどんな意味があるのかは堀辰雄氏のみぞ知るところなのでしょうが、とりあえず、風立ちぬは文章が綺麗で良い作品だと思いますので、是非皆さんにも読んで欲しいなあと思います。文語調で書かれているわけではないのでそこは心配ありません。

 
百人一首第25句 2019年09月30日(月) 23時55分  
このシリーズでは百人一首を順に解説していきます。
ゆくゆくは百首全ての解説を目指します。

[ 番号 ]
第二十五句

[ 歌 ]
名にし負はば 逢坂山の さねかづら 人に知られで くるよしもがな


[ かな ]
なにしおはば あふさかやまの さねかづら ひとにしられで くるよしもがな

[ よみ ]
なにしおわば おうさかやまの さねかづら ひとにしられで くるよしもがな

[ 現代語訳 ]
逢坂山のさねかずらが、恋人に会って共に寝るという名前を持っているのなら、そのさねかずらのつるをたぐるように、人に知られずに会いに行く方法があればなあ

[ 品詞分解 ]
名【名詞】 に【格助詞】 し【副助詞】 負は/ば【ハ行四段活用動詞「負ふ」未然形+接続助詞】   逢坂山【名詞】 の【格助詞】   さねかづら【名詞】   人【名詞】 に【格助詞】 知ら/れ/で【ラ行四段活用動詞「知る」未然形+受身の助動詞「る」未然形+打消の接続助詞】   くる【カ行変格活用(ラ行四段活用)動詞「くる」連体形】 よし【名詞】 もがな【終助詞】


[ 文法 ]
・「名にし負はば 逢坂山の さねかづら」は「くる」を導く序詞。
・「名にし負はば」の「し」は強意の副助詞。品詞の識別で良く出題される。
・逢坂山は「逢坂山(地名)」と「逢う」の掛け言葉。
・「さねかづら」は「さねかづら(植物名)」と「小寝(一緒に寝ること)」の掛け言葉
・「さねかづら」と「くる」は縁語
・「さ寝」と「逢ふ」は縁語。


[ 読み人 ]
三条右大臣(さんじょうのうだいじん) [男性]

藤原定方のこと。平安時代中期に生きた貴族。邸宅が平安京の三条にあったことから三条右大臣と呼ばれるようになった。

[ 決まり字 ]
3字

[ 解説 ]
作者が実際に恋した女性と会えなくなってしまった際に、その気持ちを歌った歌である。この歌には非常に多くの技法が使われている。当時、「逢坂山のさねかずら」は広く知られており、題材として共感を得やすかったと思われる。



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