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最終更新日 2024年02月29日 


◆ 古文

 
百人一首第36句 2023年07月31日(月) 23時59分  

このシリーズでは百人一首を順に解説していきます。
ゆくゆくは百首全ての解説を目指します。

[ 番号 ]
第三十六句

[ 歌 ]
夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月宿るらむ

[ かな ]
なつのよは まだよひながら あけぬるを くものいづこに つきやどるらむ

[ よみ ]
なつのよわ まだよいながら あけぬるを くものいずこに つきやどるらん

[ 現代語訳 ]
夏の夜は(とても短いので)まだ宵だと思っているうちに明けてしまったが、(月が沈む間もないほど短い夜なので、)月は雲のどこに宿っているのだろうか。

[ 品詞分解 ]
夏【名詞】 の【格助詞】 夜【名詞】 は【係助詞】   まだ【副詞】 宵【名詞】 ながら【接続助詞】  明け/ぬる【カ行下二段活用動詞「明く」連用形+完了の助動詞「ぬ」連体形】 を【格助詞】   雲【名詞】 の【格助詞】 いづこ【名詞】 に【格助詞】   宿る/らむ【ラ行四段活用動詞「宿る」終止形+現在推量の助動詞「らむ」連体形】 

[ 文法 ]
・「月宿るらむ」は擬人法。
・「月宿るらむ」の「らむ」は反語、疑問文の末尾にあるため終止形ではなく連体形。

[ 読み人 ]
清原深養父(きよはらのふかやぶ) [男性]
平安時代中期の歌人。百人一首第42句の清原元輔のおじいさんで、清少納言のひいお爺さんに当たる。

[ 決まり字 ]
2字

[ 解説 ]
短い夏の夜を惜しんで詠んだ歌。当時は結婚しても一緒に住まず、夜になると男性が女性の元へ通うことが多かった。そのため、夏の短い夜を惜しむ気持ちが生まれたのだろう。
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秋来ぬと… 2022年09月30日(金) 21時58分  
朝晩がめっきり涼しくなって参りました。あはれ今年の秋も去ぬめりにならないよう、この過ごしやすい季節を大切にしていきたいと思います。

しかしながら、この季節は台風の季節でもあり、古文自動翻訳研究センターの被害は特にありませんでしたが、静岡県の台風被害が甚大でした。お亡くなりになった方もいらっしゃったほか、静岡市清水区の断水が長く続きました。被災された方にお見舞い申し上げます。久されなかった方も、万一に備えて水や食料等の備蓄はしておいた方が良いかもしれません。

 
百人一首第35句 2022年05月30日(月) 08時19分  
このシリーズでは百人一首を順に解説していきます。
ゆくゆくは百首全ての解説を目指します。

[ 番号 ]
第三十五句

[ 歌 ]
人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香に匂ひける

[ かな ]
ひとはいさ こころもしらず ふるさとは はなぞむかしの かににほひける

[ よみ ]
ひとはいさ こころもしらず ふるさとは はなぞむかしの かににおいける

[ 現代語訳 ]
さて、どうだろう、人の心は分からないが、昔からの馴染みの土地では梅の花が昔のままに咲いて、よい香りを漂わせているのだなあ。

[ 品詞分解 ]
人【名詞】 は【係助詞】 いさ【副詞】   心【名詞】 も【係助詞】 知ら/ず【ラ行四段活用動詞「知る」未然形+打消の助動詞「ず」終止形】   ふるさと【名詞】 は【係助詞】   花【名詞】 ぞ【係助詞】 昔【名詞】 の【格助詞】   香【名詞】 に【格助詞】 匂ひ/ける【ハ行四段活用動詞「匂ふ」連用形+過去の助動詞「けり」連体形】

[ 文法 ]
・二句切れ。
・「花ぞ昔の香に匂ひける」は係り結び。

[ 読み人 ]
紀貫之(きのつらゆき) [男性]
平安時代前期の歌人。三十六歌仙の1人。初の勅撰和歌集である古今和歌集の撰者である。歌の腕前に関する評価は相当高いが、和歌ばかりでなく、日本最古の日記文学とされる土佐日記の著者としても有名。土佐日記は、紀貫之が今の高知県へ国司として赴任した帰り道の出来事などをつづったもので、作中では作者は女性とされ、仮名で書かれているのが特徴。

[ 決まり字 ]
3字

[ 解説 ]
元々は古今和歌集に掲載されていた歌で、その歌の前書きにあたる詞書によれば、長谷寺へお参りする度に泊まっていた人の家に長年行くことがなく、久しぶりに訪れた際に、その主人に「ここは昔のままですよ(それなのにあなたは忘れてしまったのか、久しく来てくれませんでしたね)。」と皮肉を言われ、その返事として、そこに咲いていた梅の花を折って詠んだ歌ということである。時と共に変わってしまうこともある人の心と、毎年変わることなく美しく咲き薫る梅の花を対比して歌に詠み込んでいる。

 
百人一首第34句 2021年11月30日(火) 22時10分  

このシリーズでは百人一首を順に解説していきます。
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[ 番号 ]
第三十四句

[ 歌 ]
誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに

[ かな ]
たれをかも しるひとにせむ たかさごの まつもむかしの ともならなくに

[ よみ ]
たれをかも しるひとにせん たかさごの まつもむかしの ともならなくに 

[ 現代語訳 ]
私はいったい誰を友人にしようか。 (私は年老いてしまい、長寿で有名な高砂の松くらいしか昔から共に生きているものは居なくなってしまったが、その)高砂の松も昔からの友人ではないのに。

[ 品詞分解 ]
誰【名詞】 を【格助詞】 か【係助詞】 も【係助詞】   知る【ラ行四段活用動詞「知る」連体形:知る】 人【名詞】 に【格助詞:に】 せ/む【サ行変格活用動詞「す」未然形+意志・推量の助動詞「む」終止形】   高砂【名詞】 の【格助詞】   松【名詞】 も【係助詞】 昔【名詞】 の【格助詞】   友【名詞】 なら/なく/に【断定の助動詞「なり」未然形+打消の助動詞「ず」ク語法+助詞「に」】

[ 文法 ]
・二句切れ。
・松を人に例えた擬人法。
・倒置法。一般的な語順であれば一句及び二句が末尾に来る。
・「ならなくに」の「なく」は打消の助動詞の未然形に接尾語がついたいわゆるク語法だが、試験等で問われることはまず無い。

[ 読み人 ]
藤原興風(ふじわらのおきかぜ) [男性]
平安時代前期の歌人。三十六歌仙の1人。役人としての官位は低かったが、歌人としては優秀で、古今和歌集などに作品を残している。詳細な生没年は不詳であるが、歌の内容からは長寿が覗える。

[ 決まり字 ]
2字

[ 解説 ]
高砂とは現在の兵庫県高砂市付近を指し、このあたりに生える松は長寿の象徴としてよく歌に取り上げられている。本作もそのような作品の中の一つ。現在でも高砂市にある高砂神社には、長寿の松として知られる「相生の松」が生えている。

 
百人一首第33句 2021年07月31日(土) 23時00分  
このシリーズでは百人一首を順に解説していきます。
ゆくゆくは百首全ての解説を目指します。
やっと3分の1まで来ました…。先は長い…。

[ 番号 ]
第三十三句

[ 歌 ]
ひさかたの 光のどけき 春の日に 静心なく 花の散るらむ

[ かな ]
ひさかたの ひかりのどけき はるのひに しづこころなく はなのちるらむ

[ よみ ]
ひさかたの ひかりのどけき はるのひに しずこころなく はなのちるらん 

[ 現代語訳 ]
光は穏やかである春の日なのに、なぜ、桜の花には穏やかな心がなく散っているのだろうか

[ 品詞分解 ]
ひさかた【名詞】 の【格助詞】   光【名詞】 のどけき【ク活用形容詞「のどけし」連体形】   春【名詞】 の【格助詞】 日【名詞】 に【格助詞】   静心【名詞】 なく【ク活用形容詞「なし」連用形】   花【名詞】 の【格助詞】 散る/らむ【ラ行四段活用動詞「散る」終止形+現在推量の助動詞「らむ」連体形】

[ 文法 ]
・「ひさかたの」は「光」の枕詞
・通常、花に心はないので「しづ心」は花を人に例えた擬人法。
・「花の散るらむ」の「の」は主語を表す。いわゆる『主格の「の」』と呼ばれ、「花は散るのだろうか」のように訳す。主格の「の」が使用された文末は連体形で終始する決まりがあるため「らむ」は終止形ではなく連体形である。※ただし、この知識が高校のレベルで問われることはまず無いので無理して覚える必要は無い。

[ 読み人 ]
紀友則(きのとものり) [男性]
平安時代前期の官僚、歌人。三十六歌仙の1人。古今和歌集に掲載する和歌を選ぶ役割を与えられた者のうちの1人であり、自身の歌も数多く古今和歌集に掲載されていることから、歌の実力は相当の者であったようだ。ただし、古今和歌集には、紀友則が亡くなった際に紀貫之などが掲載されていることから、古今和歌集の完成を待たずして亡くなったものと思われる。

[ 決まり字 ]
2字

[ 解説 ]
古典の世界で「花」と言えば桜の花のことを指す。のどかな春の日に桜が咲いている華やかな様子を詠むと同時に、その桜が、春の日ののどかさとは対照的に散り急ぐのを見て、一抹の物寂しさを詠っている。桜の花が散ってしまう寂しさを詠った歌は数多くあり、例えば「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし(世の中に全く桜がなければ春の心はのどかだっただろう)」というような歌が伝わっている。



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