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最終更新日 2024年02月29日 


◆ 古文

 
百人一首第32句 2021年06月30日(水) 21時50分  
このシリーズでは百人一首を順に解説していきます。
ゆくゆくは百首全ての解説を目指します。

[ 番号 ]
第三十二句

[ 歌 ]
山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり

[ かな ]
やまがはに かぜのかけたる しがらみは ながれもあへぬ もみぢなりけり

[ よみ ]
やまがわに かぜのかけたる しがらみは ながれもあえぬ もみじなりけり

[ 現代語訳 ]
山間を流れる川に風が作っている流れをせき止めるものは流れることもできずに溜まっているモミジの葉であったのだなあ

[ 品詞分解 ]
山川【名詞】 に【格助詞】   風【名詞】 の【格助詞】 かけ/たる【カ行下二段活用動詞「かく」連用形+完了の助動詞「たり」連体形】   しがらみ【名詞】 は【係助詞】   流れ【名詞】 も【係助詞】 あへ/ぬ【ハ行下二段活用動詞「あふ」連用形+打消の助動詞「ぬ」連体形】   紅葉【名詞】 なり/けり【詠嘆の助動詞「なり」連用形+過去の助動詞「けり」終止形】

[ 文法 ]
・「風のかけたる」は擬人法

[ 読み人 ]
春道列樹(はるみちのつらき) [男性]
平安時代前期の官僚、歌人。あまり記録が残っておらず、生まれた年も定かではない。没年は西暦920年。現代まで伝わる歌も5首のみ。

[ 決まり字 ]
3字

[ 解説 ]
京都から滋賀県へと通じる峠道の途中で詠んだ歌とされる。秋の美しい谷川の風景を描写している。
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百人一首第31句 2021年05月31日(月) 22時51分  
このシリーズでは百人一首を順に解説していきます。
ゆくゆくは百首全ての解説を目指します。

[ 番号 ]
第三十一句

[ 歌 ]
朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに 吉野の里に 降れる白雪

[ かな ]
あさぼらけ ありあけのつきと みるまでに よしののさとに ふれるしらゆき

[ よみ ]
あさぼらけ ありあけのつきと みるまでに よしののさとに ふれるしらゆき

[ 現代語訳 ]
夜がほのぼのと明けていく頃、夜明け頃の月かと思うくらいに白い雪が、吉野の里(奈良県中部の地名)に降り積もっている

[ 品詞分解 ]
朝ぼらけ【名詞】   有明【名詞】 の【格助詞】 月【名詞】 と【格助詞】   見る【マ行上一段活用動詞「見る」連体形】 まで【格助詞】 に【格助詞】   吉野【名詞】 の【格助詞】 里【名詞】 に【格助詞】   降れ/る【ラ行四段活用動詞「降る」已然形+完了の助動詞「り」連体形】 白雪【名詞】

[ 文法 ]
・最後は「白雪」で体言止め

[ 読み人 ]
坂上是則(さかのうえのこれのり) [男性]
平安時代前期から中期にかけて活躍した貴族、歌人。三十六歌仙の1人。歌集に「是則集」がある。歌の他に蹴鞠に長けており、醍醐天皇の御前で披露した際には206回続けて鞠を落とさず蹴り上げて褒美を賜ったとの記録が西宮記に残る。

[ 決まり字 ]
6字

[ 解説 ]
古今集によれば、作者である坂上是則が大和へ赴いた際に、雪が降っているのを見て詠んだ歌がこの歌である。実際、雪と月を見間違うことはないであろうが、雪の白さを月の光に見立てるのは漢詩に見られる表現であり、当時の知識人の常識であったことから、それを意識していると思われる。奈良県の吉野と言えば現在は桜の名所であるが、平安時代は人里離れた山里のイメージをもつ地名であった。歌枕として数多くの歌に詠まれている。この歌もまた、そういった歌の一つである。百人一首にはこの歌の他にも吉野を詠んだ歌として第94首「み吉野の…」がある。

 
共通テストお疲れ様でした。 2021年01月31日(日) 21時28分  
2020年度の大学入試から、今までのセンター試験が共通試験に変更されました。新型コロナウイルス感染症への対策を求められる中、2021年1月に試験が行われました。受験された方、関係者の方、お疲れ様でした。

古文に関する出題について言えば、まだしっかりとは確認出来ていないのですが、センター試験の時の出題傾向と大きな変更はなかったように思います。問題を解くのに一字一句訳す必要までは無いのですが、また折を見て古文翻訳装置でどの程度訳や品詞分解が出来るか、試してみたいと思います。

 
百人一首第29句 2020年11月30日(月) 23時35分  
このシリーズでは百人一首を順に解説していきます。
ゆくゆくは百首全ての解説を目指します。

[ 番号 ]
第二十九句

[ 歌 ]
心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花

[ かな ]
こころあてに をらばやをらむ はつしもの おきまどはせる しらぎくのはな

[ よみ ]
こころあてに おらばやおらん はつしもの おきまどわせる しらぎくのはな

[ 現代語訳 ]
あてずっぽうに折るのなら折ってみようか、初霜が降りて、その白さで見分けがつかなくさせている白菊の花を。

[ 品詞分解 ]
心あて【名詞】 に【格助詞】   折ら/ば/や【ラ行四段活用動詞「折る」未然形+接続助詞+係助詞】 折ら/む【ラ行四段活用動詞「折る」未然形+意志・推量の助動詞「む」終止形】   初霜【名詞】 の【格助詞】   おきまどはせ/る【サ行四段活用動詞「おきまどはす」已然形+完了の助動詞「り」連体形】   白菊【名詞】 の【格助詞】 花【名詞】

[ 文法 ]
・「折らむ」の「む」を連体形として文を続けることも文法上は可能であるが「折るような初霜」と文を続けると意味が通らないことから「二句切れ」とし、分けて考える。
・「折らばや」を「ラ行四段活用動詞「折る」未然形+終助詞」と見ると「折り曲げたい」という意思を表すと解釈することも可能ではあるが、ここでは文が続いていることから、終助詞よりも接続助詞+係助詞の「ばや」が適当である。
・本来は「白菊の花」を「折らばや折らむ」であるところ「倒置法」を用いている。
・最後は「白菊の花」で「体言止め」

[ 読み人 ]
凡河内躬恒(おおしこうちのみつね) [男性]

平安時代前期の歌人。三十六歌仙のひとり。官僚であり、淡路や和泉などの地方官僚職を歴任したが、大きな出世はしなかった。歌人としては大きな業績を残しており、古今和歌集などに多くの歌が残る。家集に「躬恒集」がある。 

[ 決まり字 ]
4字

[ 解説 ]
初霜の白さと、白菊の白さを重ね合わせ、初冬の情景を詠んだ歌である。実際には、白菊が見えなくなるほどの初霜が降りることはないであろうが、印象的な情景を敢えて大げさな表現も用いて歌にしていると思われる。

 
百人一首第28句 2020年07月31日(金) 23時04分  
このシリーズでは百人一首を順に解説していきます。
ゆくゆくは百首全ての解説を目指します。

[ 番号 ]
第二十八句

[ 歌 ]
山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば 

[ かな ]
やまざとは ふゆぞさびしさ まさりける ひとめもくさも かれぬとおもへば 

[ よみ ]
やまざとは ふゆぞさびしさ まさりける ひとめもくさも かれぬとおもえば 

[ 現代語訳 ]
山里は冬にとりわけ寂しさが感じられる。人が訪ねてくることもなくなり、草も枯れてしまうと思うと。

[ 品詞分解 ]
山里【名詞】 は【係助詞】   冬【名詞】 ぞ【係助詞】 さびしさ【名詞】   まさり/ける【ラ行四段活用動詞「まさる」連用形+過去の助動詞「けり」連体形】   人目【名詞】 も【係助詞】 草【名詞】 も【係助詞】   かれ/ぬ/と【ラ行下二段活用動詞「かる」連用形+完了の助動詞「ぬ」終止形+格助詞】 思へ/ば【ハ行四段活用動詞「思ふ」已然形+接続助詞】 

[ 文法 ]
・三句切れ
・倒置法
・「冬ぞ」で掛かり「勝りける」で結ぶ係り結び
・「かれぬ」は「離れぬ」と「枯れぬ」のかけことば

[ 読み人 ]
源宗于朝臣(みなもとのむねゆきあそん) [男性]

平安時代中頃の歌人、貴族。三十六歌仙のひとり。光孝天皇の孫にあたるが、後に皇族の身分を離れて源姓となった(皇族に苗字はない)。地方の役職を歴任したが、あまり出世には恵まれなかったようである。紀貫之と親交があったらしく、歌のやりとりが残る。

[ 決まり字 ]
3字

[ 解説 ]
平安時代の皇族、貴族の生活を想像すると、多くの人々は都の華やかな生活を思い浮かべるだろうが、その都の生活と比べて山里の生活は寂しいものである。特に冬は訪れてくる人もなくなり、草も枯れてその寂しさがまさる。そんな山里の様子を倒置法やかけことばなどの技法を織り交ぜて表現した歌である。作者が出世に恵まれなかったこともあり、そのような寂しさを山里のそれと重ねていたのかも知れない。



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