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最終更新日 2025年01月31日 


◆ 古文

 
百人一首第11句 2014年10月31日(金) 00時59分  
このシリーズでは百人一首を順に解説しています。
ゆくゆくは百首全ての解説を目指します。

[ 歌 ]

第十一句 わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ あまの釣船
参議 篁(さんぎ たかむら)


[ 現代語訳 ]

数多くの島々を目指して大海原へ漕ぎ出していったと(都の)人に伝えてくれ、漁師の釣り船よ


[ 品詞分解 ]
わたの原【名詞】 八十島【名詞】 かけ/て【ラ行下二段活用動詞「かく」連用形+接続助詞】 漕ぎ/出で/ぬ/と【ガ行四段活用動詞「漕ぐ」連用形+ダ行下二段活用動詞「出づ」連用形+完了の助動詞「ぬ」終止形+格助詞】 人【名詞】 に【格助詞】 は【係助詞】 告げよ【ガ行下二段活用動詞「告ぐ」命令形】 あま【名詞】 の【格助詞】 釣船【名詞】


[ 文法 ]

・四句切れ。
・釣り船を人に例えて伝言を頼んでいる(擬人法)。
・「あまの釣り船」で体言止め。


[ 読み人 ]

参議 篁
参議は役職の名。名字は小野と言う。学問に優れた人物であった。遣唐副使に任命され中国大陸に渡ることとなったが、大使の藤原常嗣の乗る予定だった船が壊れてしまい、篁の船と交換することになる。壊れた船に乗せられそうになった篁は常嗣との間で諍いとなり、結局乗船しなかった。そのことを咎められ隠岐に流罪になったときに呼んだとされるのがこの歌である。その後許されて京の都へと戻っている。


[ 決まり字 ]

6字
※ わたのはら こぎいでてみれば…の句と5文字目までが同じである。


[ 解説 ]

作者が隠岐へ流罪になるときに詠んだ歌である。隠岐とは現在の島根県の一部で、当時は配流地として有名であった。最終的には京に帰ることを許される作者であるが、この歌を詠んだとされるのはまさに流刑になるその時であるから、当然自分がいつ帰ってこれるかも分からない、あるいはもう帰って来られないかもしれないという状況の下である。あまの釣り船に伝言を頼んでも、当然伝わるわけはないのであるが、そうせずには居られなかった不安で心細い様子を、うまく織り込んだ作である。
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未然連用終止連体已然命令 2014年09月29日(月) 23時23分  
未然連用終止連体已然命令… これ、すなわち古文において活用がある単語(思は…ず、思ひ…て等語尾が変化する単語)の活用の種類です。古文を習い始めると必ず出てきます。有無を言わさず呪文のように覚えさせられる所でもあります。ただ、まぁそれなりに意味のある名前なので、言葉の意味を考えて覚えた方が楽かも知れません。

 
清少納言…さん? 2014年08月29日(金) 01時19分  
いっこ前の記事で清少納言という名前が出てきました。
「せいしょうなごん」と読み、清少納言て「清少」が名字で「納言」が名前で、は、ありませんよ?

読みは「せいしょうなごん」で正解ですが、清が(おそらく)名字で、少納言は役職の名前です。清少納言が少納言を務めたというわけではなく、近親の男性で少納言を務めた人が居たようですね。どういう血縁関係の人かは分かってないらしいですけれど。

そもそも、清少納言は宮廷でお仕えする時に名乗るもの(女房名と言う)で本名ではないのです。正しい名字は清原さんだったとか。で、清少納言の本名は実は伝わって無くて不明とか。枕草子の作者として、ペンネームの方が有名になってしまったようですね。

以上、古文の問題をとく為の知識としては覚えておく必要はないと思いますが、知っておくと何かに使えるかも知れません。あ、「少納言」が役職の名前というのは知っておくと古文の中にその単語が出てきたときに読解の助けになるかも知れません。



 
百人一首第10句 2014年06月29日(日) 22時52分  
第一句から十句までで二年以上かかった…このペースだと百句やるまで二十年以上掛かる…うーん…。

[ 歌 ]
第十句 これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関
蝉丸(せみまる)


[ 現代語訳 ]
これがあの、京都から出て行く人も帰ってくる人も、知っている人も知らない人も、別れてはまた会うという逢坂の関なのだなあ


[ 品詞分解 ]
これ/や/こ/の【名詞+感動詞+名詞+格助詞】 行く【カ行四段活用動詞「行く」連体形】 も【係助詞】 帰る【ラ行四段活用動詞「帰る」連体形】 も【係助詞】 別れ/て【ラ行下二段活用動詞「別る」連用形+接続助詞】 は【係助詞】 知る【ラ行四段活用動詞「知る」連体形】 も【係助詞】 知ら/ぬ【ラ行四段活用動詞「知る」未然形+打消の助動詞「ず」連体形】 も【係助詞】 逢坂の関【名詞】


[ 文法 ]
・「これやこの」は品詞分解すれば「これ/や/こ/の【名詞+感動詞+名詞+格助詞】」となるが、全体で「これがあの~なのだなあ」という詠歎の気持ちを表す慣用句である。「や」は感動、詠歎を表す間投助詞。
・「行くも帰るも」と「知るも知らぬも」は対句。
・逢坂(あふさかと書き、おおさかと読む)の関は「逢ふ」と「逢坂」の掛詞。
・「逢坂の関」で体言止め


[ 読み人 ]

蝉丸
 詳しいことは良く解っていないが、平安時代前期に生き、歌にも出てくる逢坂の関の近くに住んでいたようだ。琵琶(楽器の一種)の名人でもあったようである。


[ 決まり字 ]

2字


[ 解説 ]
多くの人が行き交う逢坂の関を思い、その出会いや別れに思いをはせる歌である。逢坂の関は今の京都府と滋賀県の境目にあった。平安時代の人々はここを通って東国へと旅立っていった。ちなみに東国とは京都よりも東の地方を指す総称。平安京を中心と考えていたので、それより東と言うことでそう呼ばれていた。この歌もそうであるが、「あふさかのせき(逢坂の関)」と「あふ(逢ふ)」が掛詞として非常に使いやすく、また、東国へ向かう交通の要所であったことから多くの出会いや別れがあったことは想像に難くなく、そのような場面を連想しやすかったからか、逢坂の関は多くの歌に詠まれている名所である。現在でも交通の要所で、国道一号線や東名高速道路はこの周辺を通過している。東海道線や東海道新幹線と言った鉄道も、トンネルでではあるがこの周辺を通過している。残念ながら前記の道路建設などのため地形が変わっており、当時の関所があった場所は定かではない。ただ、関のあったと思われる付近には現在、蝉丸神社という神社があり、蝉丸が神として祀られている。

 
百人一首第9句 2014年03月31日(月) 00時59分  
[ 歌 ]
第九句 花の色は うつりにけりな いたづらに 我が身世にふる ながめせし間に
小野小町(おののこまち)

[ 現代語訳 ]
桜の色はすっかり色あせてしまったなぁ。長雨が降っている間に。そして、同じように、私の美しさもすっかり衰えてしまったなぁ。空しく物思いにふけって過ごしている間に。


[ 品詞分解 ]
花【名詞】 の【格助詞】 色【名詞】 は【係助詞】   うつり/に/けり/な【ラ行四段活用動詞「うつる」連用形+完了の助動詞「ぬ」連用形+過去の助動詞「けり」終止形+終助詞】  いたづらに【ナリ活用形容動詞「いたづらなり」連用形】  我【名詞】 が【格助詞】 身【名詞】 世【名詞】 に【格助詞】 ふる【ハ行下二段活用動詞「ふ」連体形】   ながめ【名詞】 せ/し【サ行変格活用動詞「す」未然形+過去の助動詞「き」連体形】 間【名詞】 に【格助詞】

[ 文法 ]
・二句切れ
・「ふる」は「(雨が)降る」と「(年月を)経る」との掛詞
・「ながめ」は「眺め」と「長雨」との掛詞

[ 読み人 ]
六歌仙や三十六歌仙に数えられる歌人であり、歌の才能は相当なものであったようだ。
同時に絶世の美人であったという。一説によれば現在の秋田県が出生地とされ、秋田県の農業試験場で開発されたお米「あきたこまち」や東京と秋田を結ぶ新幹線の名称「こまち号」は、彼女の名前から取られている。彼女にまつわる伝説も多いが、生年や没年も判然とせず、出生地についてもそれを特定出来るようなものはない。そもそも本当に美人であったかどうかすら当時の人のみぞ知るところである。


[ 決まり字 ]
3字

[ 解説 ]
歌の中には「花」としか書かれていないのに訳文では「桜の花」となっており、どこから桜だと分かったのかと疑問に思うかたもいらっしゃるかも知れないが、古文の中で「花」と言えばほぼ確実に桜の花のことであるので覚えておいて損はない。この歌の特徴は、掛詞を用いて一つの歌の中に二つの意味を同時に存在させているところにある。一つは桜の花が長雨によって色あせてしまったことを残念に思う気持ち、そして、もう一つが自分自身が年を取って昔の美貌を失ってしまったことを嘆く気持ち、この二つである。歌と言うものは、三十一文字(みそひともじ)の中に全てを詰め込まねばならない。その制約もあって、少ない文字数で多くを表現するために、しばしば一つのところに二つの意味を持たせると言ったことが行われるのである。





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