何が違うかって言ったら、
(1) 田子の浦
ゆ 田子の浦
に
(2)
真白にそ 白妙の
(3) 雪は降り
ける 雪は降り
つつ
の3点ですね。
字面は大きく違うわけではないですが、意味は大きく変わってきます。
古文業界?では結構有名な話なので知ってる方も多いと思いますが、
順を追って解説していきましょう。
そもそも、なんで同じような微妙に違うような歌があるのかってゆうと、
最初に山部赤人(やまべのあかひと)さんが読んだ「田子の浦ゆ~」の歌を
藤原定家(ふじわらのていかorさだいえどっちも正しい)さんが「田子の浦に~」
って直した
…からだそうです。
藤原定家さんは何を思って改変したのでしょう。
(1)田子の浦ゆ と 田子の浦に
「ゆ」は助詞です。と、いっても高校では習わない上代の助動詞です。
これがテストで聞かれることはまず無いでしょうが、「~を通って」という意味です。
つまり、「田子の浦を通って」と訳せます。
対する「田子の浦に」の方は、現代語でも「田子の浦に」で意味が通じますね。
田子の浦ってのは静岡県にある海岸です。駿河湾に面していて、
晴れた日には富士山が綺麗に見えると、こういうわけですね。
「田子の浦ゆ うち出でてみれば」には二つの意味が考えられます。
・田子の浦を通って海まで出て、船に乗って沖の方まで出てきた。
・田子の浦の松林を抜けて海岸線まで出てきた。
どっちかのかは山部赤人さんのみぞ知るって所でしょうか。
(2)真白にそ と 白妙の
真白に→形容動詞
そ→助詞
です。
「そ」って言う助詞も高校では習いませんが「ぞ」と全く同じ意味です。
白妙→白い布のこと
です。
つまり、富士につもった雪の色を、
・「真っ白に」とストレートに表現
・白い布のようだと比喩で表現
の違いですね。
(3)雪は降りける と 雪は降りつつ
けり と つつ の違いですが、
「けり」は過去の助動詞ですので「降った」と訳せます。
白い雪が降った。そして今富士山に積もっているという状態ですね。
「つつ」は現代語でも同じような意味で使います。
「テレビを見つつ勉強する」とか。
…勉強するときは勉強に集中したほうがはかどるよ!
それはとりあえず置いといて、「つつ」は継続を表すわけですよ。
テレビを見るという動作を継続して、かつ勉強をする、みたいなね。
つまり「降りつつ」なら、今現在も雪が降り続けているという意味なのです。
……。
ここで最大のポイント。
今現在も雪が降り続けているのなら、富士の山頂は雲に覆われていて見えない
のではないかと。
私は言われるまで気づきませんでしたが、言われてみれば確かにそうです。
青空に白い帽子を被った富士山をイメージさせる歌なのですが、
よくよく読んでみると改変後の歌はそうではない…らしい。
一年生になったらの歌詞で、
友達百人できたなら富士山の上でいっしょにおにぎりを食べる人数は101人じゃないのか?
ってのと同じ部類のサプライズがありますね。
…いえ、なんでもありません
だれか1人ハブられてるよね
まぁ、それはともかく。
おなじような二つの歌ですが、意味は結構違ってくるんだよって言うお話でした。
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