このシリーズでは百人一首を順に解説していきます。
ゆくゆくは百首全ての解説を目指します。
[ 番号 ]
第四十四句
[ 歌 ]
逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし
[ かな ]
あふことの たえてしなくは なかなかに ひとをもみをも うらみざらまし
[ よみ ]
あうことの たえてしなくは なかなかに ひとおもみおも うらみざらまし
[ 現代語訳 ]
もしもあの人と私が全く会えないのならば、あの人のつれなさも、自分の運命も、恨むことは無いだろうに。
[ 品詞分解 ]
逢ふ【ハ行四段活用動詞「あふ」連体形】 こと【名詞】 の【格助詞】 絶えて【副詞】 し【強意の副助詞】 なく/は【ク活用形容詞未然形+接続助詞】 なかなかに【副詞】 人【名詞】 を【格助詞】 も【係助詞】 身【名詞】 を【格助詞】 も【係助詞】 恨み/ざら/まし【マ行上二段活用動詞「うらむ」未然形+打消の助動詞「ず」未然形+反実仮想の助動詞「まし」】
[ 文法 ]
・「絶えてしなくは」の「し」は強意の副助詞
・最後の「まし」は反実仮想の助動詞
[ 読み人 ]
中納言朝忠(ちゅうなごんあさただ) [男性]
三十六歌仙の1人。歌のほか、笛などの名手でもあった。百人一首第25句の藤原定方を父に持つ。親子で百人一首に名を連ねており、それぞれ才能に長けていたようだ。
[ 決まり字 ]
3字
[ 解説 ]
恋の苦悩を歌った歌。もしあなたと一度も出会わなかったなら、あなたのことも、自分のつらい運命のことも恨まずに済んだだろうに。と、出会えた喜びよりも、その後に訪れた恋の苦しみの方が大きいという複雑な心情を表している。素敵な相手と出会えたこと自体は幸せなことであろうが、その後がうまくいかなければそれは苦しみの原因。こんなことならそもそも出会わなければ良かった。「人をも身をも」と並べることで、相手だけでなく、そのような恋をしてしまった自分自身まで恨みたくなるほどの切ない心情が歌われている。
なお、この歌の決まり字は3字であるが、百人一首の一覧表を見ると「あふ〜」から始まる歌はこの歌しかなく、文字だけ見ていると2字である。ただし、カルタで読まれる場合は「おおことの〜」と読まれるので、「おおえやま〜」や「おおけなく〜」と区別するため、3字まで聞く必要がある。
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