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最終更新日 2025年01月31日 


◆ 古文

 
百人一首第35句 2022年05月30日(月) 08時19分  
このシリーズでは百人一首を順に解説していきます。
ゆくゆくは百首全ての解説を目指します。

[ 番号 ]
第三十五句

[ 歌 ]
人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香に匂ひける

[ かな ]
ひとはいさ こころもしらず ふるさとは はなぞむかしの かににほひける

[ よみ ]
ひとはいさ こころもしらず ふるさとは はなぞむかしの かににおいける

[ 現代語訳 ]
さて、どうだろう、人の心は分からないが、昔からの馴染みの土地では梅の花が昔のままに咲いて、よい香りを漂わせているのだなあ。

[ 品詞分解 ]
人【名詞】 は【係助詞】 いさ【副詞】   心【名詞】 も【係助詞】 知ら/ず【ラ行四段活用動詞「知る」未然形+打消の助動詞「ず」終止形】   ふるさと【名詞】 は【係助詞】   花【名詞】 ぞ【係助詞】 昔【名詞】 の【格助詞】   香【名詞】 に【格助詞】 匂ひ/ける【ハ行四段活用動詞「匂ふ」連用形+過去の助動詞「けり」連体形】

[ 文法 ]
・二句切れ。
・「花ぞ昔の香に匂ひける」は係り結び。

[ 読み人 ]
紀貫之(きのつらゆき) [男性]
平安時代前期の歌人。三十六歌仙の1人。初の勅撰和歌集である古今和歌集の撰者である。歌の腕前に関する評価は相当高いが、和歌ばかりでなく、日本最古の日記文学とされる土佐日記の著者としても有名。土佐日記は、紀貫之が今の高知県へ国司として赴任した帰り道の出来事などをつづったもので、作中では作者は女性とされ、仮名で書かれているのが特徴。

[ 決まり字 ]
3字

[ 解説 ]
元々は古今和歌集に掲載されていた歌で、その歌の前書きにあたる詞書によれば、長谷寺へお参りする度に泊まっていた人の家に長年行くことがなく、久しぶりに訪れた際に、その主人に「ここは昔のままですよ(それなのにあなたは忘れてしまったのか、久しく来てくれませんでしたね)。」と皮肉を言われ、その返事として、そこに咲いていた梅の花を折って詠んだ歌ということである。時と共に変わってしまうこともある人の心と、毎年変わることなく美しく咲き薫る梅の花を対比して歌に詠み込んでいる。
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百人一首第34句 2021年11月30日(火) 22時10分  

このシリーズでは百人一首を順に解説していきます。
ゆくゆくは百首全ての解説を目指します。

[ 番号 ]
第三十四句

[ 歌 ]
誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに

[ かな ]
たれをかも しるひとにせむ たかさごの まつもむかしの ともならなくに

[ よみ ]
たれをかも しるひとにせん たかさごの まつもむかしの ともならなくに 

[ 現代語訳 ]
私はいったい誰を友人にしようか。 (私は年老いてしまい、長寿で有名な高砂の松くらいしか昔から共に生きているものは居なくなってしまったが、その)高砂の松も昔からの友人ではないのに。

[ 品詞分解 ]
誰【名詞】 を【格助詞】 か【係助詞】 も【係助詞】   知る【ラ行四段活用動詞「知る」連体形:知る】 人【名詞】 に【格助詞:に】 せ/む【サ行変格活用動詞「す」未然形+意志・推量の助動詞「む」終止形】   高砂【名詞】 の【格助詞】   松【名詞】 も【係助詞】 昔【名詞】 の【格助詞】   友【名詞】 なら/なく/に【断定の助動詞「なり」未然形+打消の助動詞「ず」ク語法+助詞「に」】

[ 文法 ]
・二句切れ。
・松を人に例えた擬人法。
・倒置法。一般的な語順であれば一句及び二句が末尾に来る。
・「ならなくに」の「なく」は打消の助動詞の未然形に接尾語がついたいわゆるク語法だが、試験等で問われることはまず無い。

[ 読み人 ]
藤原興風(ふじわらのおきかぜ) [男性]
平安時代前期の歌人。三十六歌仙の1人。役人としての官位は低かったが、歌人としては優秀で、古今和歌集などに作品を残している。詳細な生没年は不詳であるが、歌の内容からは長寿が覗える。

[ 決まり字 ]
2字

[ 解説 ]
高砂とは現在の兵庫県高砂市付近を指し、このあたりに生える松は長寿の象徴としてよく歌に取り上げられている。本作もそのような作品の中の一つ。現在でも高砂市にある高砂神社には、長寿の松として知られる「相生の松」が生えている。

 
百人一首第33句 2021年07月31日(土) 23時00分  
このシリーズでは百人一首を順に解説していきます。
ゆくゆくは百首全ての解説を目指します。
やっと3分の1まで来ました…。先は長い…。

[ 番号 ]
第三十三句

[ 歌 ]
ひさかたの 光のどけき 春の日に 静心なく 花の散るらむ

[ かな ]
ひさかたの ひかりのどけき はるのひに しづこころなく はなのちるらむ

[ よみ ]
ひさかたの ひかりのどけき はるのひに しずこころなく はなのちるらん 

[ 現代語訳 ]
光は穏やかである春の日なのに、なぜ、桜の花には穏やかな心がなく散っているのだろうか

[ 品詞分解 ]
ひさかた【名詞】 の【格助詞】   光【名詞】 のどけき【ク活用形容詞「のどけし」連体形】   春【名詞】 の【格助詞】 日【名詞】 に【格助詞】   静心【名詞】 なく【ク活用形容詞「なし」連用形】   花【名詞】 の【格助詞】 散る/らむ【ラ行四段活用動詞「散る」終止形+現在推量の助動詞「らむ」連体形】

[ 文法 ]
・「ひさかたの」は「光」の枕詞
・通常、花に心はないので「しづ心」は花を人に例えた擬人法。
・「花の散るらむ」の「の」は主語を表す。いわゆる『主格の「の」』と呼ばれ、「花は散るのだろうか」のように訳す。主格の「の」が使用された文末は連体形で終始する決まりがあるため「らむ」は終止形ではなく連体形である。※ただし、この知識が高校のレベルで問われることはまず無いので無理して覚える必要は無い。

[ 読み人 ]
紀友則(きのとものり) [男性]
平安時代前期の官僚、歌人。三十六歌仙の1人。古今和歌集に掲載する和歌を選ぶ役割を与えられた者のうちの1人であり、自身の歌も数多く古今和歌集に掲載されていることから、歌の実力は相当の者であったようだ。ただし、古今和歌集には、紀友則が亡くなった際に紀貫之などが掲載されていることから、古今和歌集の完成を待たずして亡くなったものと思われる。

[ 決まり字 ]
2字

[ 解説 ]
古典の世界で「花」と言えば桜の花のことを指す。のどかな春の日に桜が咲いている華やかな様子を詠むと同時に、その桜が、春の日ののどかさとは対照的に散り急ぐのを見て、一抹の物寂しさを詠っている。桜の花が散ってしまう寂しさを詠った歌は数多くあり、例えば「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし(世の中に全く桜がなければ春の心はのどかだっただろう)」というような歌が伝わっている。

 
百人一首第32句 2021年06月30日(水) 21時50分  
このシリーズでは百人一首を順に解説していきます。
ゆくゆくは百首全ての解説を目指します。

[ 番号 ]
第三十二句

[ 歌 ]
山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり

[ かな ]
やまがはに かぜのかけたる しがらみは ながれもあへぬ もみぢなりけり

[ よみ ]
やまがわに かぜのかけたる しがらみは ながれもあえぬ もみじなりけり

[ 現代語訳 ]
山間を流れる川に風が作っている流れをせき止めるものは流れることもできずに溜まっているモミジの葉であったのだなあ

[ 品詞分解 ]
山川【名詞】 に【格助詞】   風【名詞】 の【格助詞】 かけ/たる【カ行下二段活用動詞「かく」連用形+完了の助動詞「たり」連体形】   しがらみ【名詞】 は【係助詞】   流れ【名詞】 も【係助詞】 あへ/ぬ【ハ行下二段活用動詞「あふ」連用形+打消の助動詞「ぬ」連体形】   紅葉【名詞】 なり/けり【詠嘆の助動詞「なり」連用形+過去の助動詞「けり」終止形】

[ 文法 ]
・「風のかけたる」は擬人法

[ 読み人 ]
春道列樹(はるみちのつらき) [男性]
平安時代前期の官僚、歌人。あまり記録が残っておらず、生まれた年も定かではない。没年は西暦920年。現代まで伝わる歌も5首のみ。

[ 決まり字 ]
3字

[ 解説 ]
京都から滋賀県へと通じる峠道の途中で詠んだ歌とされる。秋の美しい谷川の風景を描写している。

 
百人一首第31句 2021年05月31日(月) 22時51分  
このシリーズでは百人一首を順に解説していきます。
ゆくゆくは百首全ての解説を目指します。

[ 番号 ]
第三十一句

[ 歌 ]
朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに 吉野の里に 降れる白雪

[ かな ]
あさぼらけ ありあけのつきと みるまでに よしののさとに ふれるしらゆき

[ よみ ]
あさぼらけ ありあけのつきと みるまでに よしののさとに ふれるしらゆき

[ 現代語訳 ]
夜がほのぼのと明けていく頃、夜明け頃の月かと思うくらいに白い雪が、吉野の里(奈良県中部の地名)に降り積もっている

[ 品詞分解 ]
朝ぼらけ【名詞】   有明【名詞】 の【格助詞】 月【名詞】 と【格助詞】   見る【マ行上一段活用動詞「見る」連体形】 まで【格助詞】 に【格助詞】   吉野【名詞】 の【格助詞】 里【名詞】 に【格助詞】   降れ/る【ラ行四段活用動詞「降る」已然形+完了の助動詞「り」連体形】 白雪【名詞】

[ 文法 ]
・最後は「白雪」で体言止め

[ 読み人 ]
坂上是則(さかのうえのこれのり) [男性]
平安時代前期から中期にかけて活躍した貴族、歌人。三十六歌仙の1人。歌集に「是則集」がある。歌の他に蹴鞠に長けており、醍醐天皇の御前で披露した際には206回続けて鞠を落とさず蹴り上げて褒美を賜ったとの記録が西宮記に残る。

[ 決まり字 ]
6字

[ 解説 ]
古今集によれば、作者である坂上是則が大和へ赴いた際に、雪が降っているのを見て詠んだ歌がこの歌である。実際、雪と月を見間違うことはないであろうが、雪の白さを月の光に見立てるのは漢詩に見られる表現であり、当時の知識人の常識であったことから、それを意識していると思われる。奈良県の吉野と言えば現在は桜の名所であるが、平安時代は人里離れた山里のイメージをもつ地名であった。歌枕として数多くの歌に詠まれている。この歌もまた、そういった歌の一つである。百人一首にはこの歌の他にも吉野を詠んだ歌として第94首「み吉野の…」がある。



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