忍者ブログ
古文自動翻訳研究センター 中学・高校の古文学習をパソコンにサポートさせようと試みるページ
サイト内検索  サイトマップ   文字サイズ変更方法
トップページ開発者ブログ >古文
最終更新日 2025年10月31日 


◆ 古文

 
百人一首第42句 2025年10月31日(金) 22時57分  
このシリーズでは百人一首を順に解説していきます。
ゆくゆくは百首全ての解説を目指します。

[ 番号 ]
第四十二句

[ 歌 ] 
ちぎりきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波越さじとは

[ かな ]
ちぎりきな かたみにそでを しぼりつつ すゑのまつやま なみこさじとは

[ よみ ] 
ちぎりきな かたみにそでお しぼりつつ すえのまつやま なみこさじとは

[ 現代語訳 ]
約束しましたよね、お互いに涙で濡れた袖を絞りながら。末の松山を波が越すことがないように、この愛も永遠であると。

[ 品詞分解 ]
ちぎり/き/な【ラ行四段活用動詞「ちぎる」連用形+過去の助動詞「き」終止形+終助詞】 かたみに【副詞】 袖【名詞】 を【格助詞】  しぼり/つつ【ラ行四段活用動詞「しぼる」連用形+接続助詞】  末の松山【名詞】  波【名詞】 越さ/じ/と【サ行四段活用動詞「越す」未然形+打消推量の助動詞「じ」終止形+格助詞】 は【係助詞】

[ 文法 ]
・初句切れ
・本来の文の順番は「かたみいに袖をしぼりつつちぎりきな」。倒置法。
・本歌取り。「君をおきて あだし心を 我がもたば 末の松山浪もこえなむ 」という古今和歌集の歌を本歌取りしている。「もし私が浮気心を持つなら、末の松山を波が超えてしまうだろう」という意味の歌だが、実際は、末の松山は海よりも高い場所であるため、波が超えることはありえない。つまり、浮気心を持つことなどあり得ないという歌である。このように約束したのに…と嘆いているのが今回の歌。本歌取りとは、元となる歌を知っていると更に深く歌を理解できる技巧である。

[ 読み人 ]
清原元輔(きよはらのもとすけ) [男性]
清少納言の父。三十六歌仙の1人。九州の地方官僚を長く務めており、80歳以上まで生きたという、当時としてはかなりの長寿であった。熊本に清原神社という神社があり、そこに祭られている。

[ 決まり字 ]
4字

[ 解説 ]
この場合の「ちぎり」とは2人で愛を誓う契り(約束)という意味で「約束しましたよね?」と、かつて誓いを交わしたことを歌の最初に確認している。「かたみに袖をしぼりつつ」は「お互いに(涙で濡れた)袖をしぼりながら」と言う意味で、別れがつらくて出た涙で袖が絞れるほどに濡れてしまっているという大げさな表現であるが、平安時代の和歌ではよく用いられている。「末の松山」は陸奥(宮城県)にある名所で、「波が越えない」と古くから詠まれてきた不変の象徴。その「波越さじとは」は、「波が越えないように、我らの契りも変わらない」と誓ったことを指しています。「あれほど固く誓ったのに、あなたの心は変わってしまったのですね」と、相手の裏切りを恨む恋の嘆きを詠んでいる。
PR

 
鉄道唱歌 2025年05月31日(土) 22時54分  

♪汽笛一声新橋を…

…から始まる鉄道唱歌。沿線の名物や名所を歌い込んでおり、日本の地理の勉強になります。明治時代に作られたものなので多少古い部分もありますが(例えば大森駅の近くの梅園は既にない、など)、今でも十分に通用します。先の冒頭は東海道本線の沿線を歌ったものですが、九州や東北など、他のバージョンも存在します。

そして、文語調で歌われているので古文の勉強にもなりそうという、なかなか良い教材なのではないかと。これ、解説したら需要があるでしょうか?そういう書籍とかもうあるのかな?ご存知の方もしいらしたら教えて下さい。

とりあえず、今このブログでは百人一首の解説を少しずつ書いているので、それが終わったら鉄道唱歌をやってみてもいいのかなと思う次第です。

 
百人一首第41句 2025年03月31日(月) 21時34分  
このシリーズでは百人一首を順に解説していきます。
ゆくゆくは百首全ての解説を目指します。

[ 番号 ]
第四十一句

[ 歌 ] 
恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひ初めしか

[ かな ]
こひすてふ わがなはまだき たちにけり ひとしれずこそ おもひそめしか 

[ よみ ]
こいすちょう わがなわまだき たちにけり ひとしれずこそ おもいそめしか 

[ 現代語訳 ]
恋をしているという私の噂がもう広まってしまった。人に知られないよう思い始めたばかりなのに。

[ 品詞分解 ]
恋す/てふ【サ行変格活用動詞「恋す」終止形+格助詞「と」+ワ行五段活用動詞「言ふ」連体形(音便)】   わ【名詞】 が【格助詞】 名【名詞】 は【係助詞】 まだき【副詞】   立ち/に/けり【タ行四段活用動詞「立つ」連用形+完了の助動詞「ぬ」連用形+過去の助動詞「けり」終止形】 人【名詞】 知れ/ず【ラ行下二段活用動詞「知る」未然形+打消の助動詞「ず」連用形】 こそ【係助詞】  思ひ/初め/しか【ハ行四段活用動詞「思ふ」連用形+マ行下二段活用動詞「初む」連用形+過去の助動詞「き」已然形】

[ 文法 ]
・「てふ」は「と言ふ」が転じたもの。
・三句切れ。
・人知れず「こそ」 思ひ初め「しか」は係り結び。「しか」は過去の助動詞「き」の已然形。

[ 読み人 ]
壬生忠見(みぶのただみ) [男性]
三十六歌仙の一人に数えられる平安時代中期の歌人。歌人として有名であったことは間違いないが、その他の経歴等については資料に乏しい。この歌で挑んだ歌合に敗れ、失意がもとで亡くなってしまったという逸話が残されている。

[ 決まり字 ]
2字

[ 解説 ]
まだ恋をし始めたばかりなのに、もう噂がたってしまったと、人の噂の早さへの驚きと嘆きを歌った歌。いつの時代も色恋話が噂になるのは早いものであるようだ。

 
百人一首第40句 2025年02月28日(金) 22時34分  
このシリーズでは百人一首を順に解説していきます。
ゆくゆくは百首全ての解説を目指します。

[ 番号 ]
第四十句

[ 歌 ]
しのぶれど 色に出でにけり わが恋は 物や思ふと 人の問ふまで 

[ かな ]
しのぶれど いろにいでにけり わがこひは ものやおもふと ひとのとふまで

[ よみ ]
しのぶれど いろにいでにけり わがこいわ ものやおもうと ひとのとうまで

[ 現代語訳 ]
恋しい気持ちを心の中に秘めて我慢していたが、私の恋は、人から「恋をしているのか」と問われる程に表情に出てしまっていたのだなあ。

[ 品詞分解 ]
しのぶれ/ど【バ行上二段活用動詞「しのぶ」已然形+接続助詞】  色【名詞】 に【格助詞】 出で/に/けり【ダ行下二段活用動詞「出づ」連用形+完了の助動詞「ぬ」連用形+過去の助動詞「けり」終止形】   わ【名詞】 が【格助詞】 恋【名詞】 は【係助詞】   物【名詞】 や【係助詞】 思ふ/と【ハ行四段活用動詞「思ふ」終止形+格助詞】   人【名詞】 の【格助詞】 問ふ【ハ行四段活用動詞「問ふ」連体形】 まで【格助詞】 

[ 文法 ]
・二句切れ
・「色に出でにけり」が本来最後に来るところ、第二句へ持ってきている倒置法

[ 読み人 ]
平兼盛(たいらのかねもり) [男性]
平安時代中期の貴族・歌人。地方の官職を転々とするなど官位には恵まれなかったが、歌人として有名で、三十六歌仙のうちの1人。兼盛集という歌集も残されている。

[ 決まり字 ]
2字

[ 解説 ]
心の中に隠していた恋心が、知らず知らずに表に出てしまった様子を詠んだ歌。単に恋をしているということを詠むのではなく、それが表情などにも影響し、隠そうとしても隠し切れない程に恋しい様子を、人に隠しきれなかったという点を通じて表現している。
「色に出でにけり」の「色」とは顔色のことで、心の中の恋が表情などに現れたしまったことを言っている。また、「物や思ふ」は恋しい相手のことについてあれこれと考えてしまうことを表している。
この歌は、西暦960年に村上天皇が開いた歌合せで披露されたものと伝わっている。歌合せとは歌の出来栄えを競う催しで、この歌と競い合ったのは百人一首の第41句にも選ばれている「恋すてふ〜」であった。どちらの句も良い出来栄えで甲乙付けがたかったが、天皇がこの歌をくちずさんだことから、この句の勝利となったという。

 
百人一首第39句 2024年12月31日(火) 21時21分  
このシリーズでは百人一首を順に解説していきます。
ゆくゆくは百首全ての解説を目指します。

[ 番号 ]
第三十九句

[ 歌 ]
浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど あまりてなどか 人の恋しき

[ かな ]
あさぢふの をののしのはら しのぶれど あまりてなどか ひとのこひしき

[ よみ ]
あさじふの おののしのはら しのぶれど あまりてなどか ひとのこひしき

[ 現代語訳 ]
茅萱がまばらに生えている篠原(しのはら)の「しの」という名前のように、耐え忍ぶけれども忍びきれない。どうしてこれほどまでにあなたが恋しいのだろう。

[ 品詞分解 ]
浅茅生【名詞】 の【格助詞】   小野【名詞】 の【格助詞】 篠原【名詞】   しのぶれ/ど【バ行上二段活用動詞「しのぶ」已然形+接続助詞】   あまり/て【ラ行四段活用動詞「あまる」連用形+接続助詞】 など【副詞】 か【係助詞】   人【名詞】 の【格助詞】 恋しき【シク活用形容詞「恋し」連体形】

[ 文法 ]
・古今和歌集「浅茅生の 小野の篠原 しのぶとも 人知るらめや 言ふ人なしに」の本歌取り
・上二句は「しのぶ」を導くための序詞

[ 読み人 ]
参議等 さんぎひとし [男性]
本名は源等(みなもとのひとし)と言う。参議は役職名。平安時代中期の歌人だが現代まで伝えられている歌は少ない。

[ 決まり字 ]
3字

[ 解説 ]
古今和歌集の歌を題材として、愛しい人を想う気持ちを詠んだ歌。第ニ句までは「偲ぶ」を導くための序詞であり、言葉遊びのようなもので特に意味はない。この歌で詠まれているのは好きな人が恋しくて我慢できないということだけなのだが、本歌取りや詞といった技法を使うことで、歌としての完成度を高めている。浅茅生とは茅萱がまばらに生えているところのこと、小野とは野原のこと、篠原は背の低い「篠竹」が生えている所を指す。具体的な地名ではない。



◆ 情報早見表

◆ 来客数

◆ カレンダー
2025年10月 2025年11月 2025年12月
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

◆ カテゴリー

◆ RSS

◆ ブログ内検索

◆ 月別索引




利用規約   推奨環境   個人情報保護   お問い合わせ トップページへ   最上へ

制作:古文自動翻訳研究センター

忍者ブログ [PR]