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最終更新日 2025年03月31日 


◆ 古文

 
百人一首第41句 2025年03月31日(月) 21時34分  
このシリーズでは百人一首を順に解説していきます。
ゆくゆくは百首全ての解説を目指します。

[ 番号 ]
第四十一句

[ 歌 ] 
恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひ初めしか

[ かな ]
こひすてふ わがなはまだき たちにけり ひとしれずこそ おもひそめしか 

[ よみ ]
こいすちょう わがなわまだき たちにけり ひとしれずこそ おもいそめしか 

[ 現代語訳 ]
恋をしているという私の噂がもう広まってしまった。人に知られないよう思い始めたばかりなのに。

[ 品詞分解 ]
恋す/てふ【サ行変格活用動詞「恋す」終止形+格助詞「と」+ワ行五段活用動詞「言ふ」連体形(音便)】   わ【名詞】 が【格助詞】 名【名詞】 は【係助詞】 まだき【副詞】   立ち/に/けり【タ行四段活用動詞「立つ」連用形+完了の助動詞「ぬ」連用形+過去の助動詞「けり」終止形】 人【名詞】 知れ/ず【ラ行下二段活用動詞「知る」未然形+打消の助動詞「ず」連用形】 こそ【係助詞】  思ひ/初め/しか【ハ行四段活用動詞「思ふ」連用形+マ行下二段活用動詞「初む」連用形+過去の助動詞「き」已然形】

[ 文法 ]
・「てふ」は「と言ふ」が転じたもの。
・三句切れ。
・人知れず「こそ」 思ひ初め「しか」は係り結び。「しか」は過去の助動詞「き」の已然形。

[ 読み人 ]
壬生忠見(みぶのただみ) [男性]
三十六歌仙の一人に数えられる平安時代中期の歌人。歌人として有名であったことは間違いないが、その他の経歴等については資料に乏しい。この歌で挑んだ歌合に敗れ、失意がもとで亡くなってしまったという逸話が残されている。

[ 決まり字 ]
2字

[ 解説 ]
まだ恋をし始めたばかりなのに、もう噂がたってしまったと、人の噂の早さへの驚きと嘆きを歌った歌。いつの時代も色恋話が噂になるのは早いものであるようだ。
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百人一首第40句 2025年02月28日(金) 22時34分  
このシリーズでは百人一首を順に解説していきます。
ゆくゆくは百首全ての解説を目指します。

[ 番号 ]
第四十句

[ 歌 ]
しのぶれど 色に出でにけり わが恋は 物や思ふと 人の問ふまで 

[ かな ]
しのぶれど いろにいでにけり わがこひは ものやおもふと ひとのとふまで

[ よみ ]
しのぶれど いろにいでにけり わがこいわ ものやおもうと ひとのとうまで

[ 現代語訳 ]
恋しい気持ちを心の中に秘めて我慢していたが、私の恋は、人から「恋をしているのか」と問われる程に表情に出てしまっていたのだなあ。

[ 品詞分解 ]
しのぶれ/ど【バ行上二段活用動詞「しのぶ」已然形+接続助詞】  色【名詞】 に【格助詞】 出で/に/けり【ダ行下二段活用動詞「出づ」連用形+完了の助動詞「ぬ」連用形+過去の助動詞「けり」終止形】   わ【名詞】 が【格助詞】 恋【名詞】 は【係助詞】   物【名詞】 や【係助詞】 思ふ/と【ハ行四段活用動詞「思ふ」終止形+格助詞】   人【名詞】 の【格助詞】 問ふ【ハ行四段活用動詞「問ふ」連体形】 まで【格助詞】 

[ 文法 ]
・二句切れ
・「色に出でにけり」が本来最後に来るところ、第二句へ持ってきている倒置法

[ 読み人 ]
平兼盛(たいらのかねもり) [男性]
平安時代中期の貴族・歌人。地方の官職を転々とするなど官位には恵まれなかったが、歌人として有名で、三十六歌仙のうちの1人。兼盛集という歌集も残されている。

[ 決まり字 ]
2字

[ 解説 ]
心の中に隠していた恋心が、知らず知らずに表に出てしまった様子を詠んだ歌。単に恋をしているということを詠むのではなく、それが表情などにも影響し、隠そうとしても隠し切れない程に恋しい様子を、人に隠しきれなかったという点を通じて表現している。
「色に出でにけり」の「色」とは顔色のことで、心の中の恋が表情などに現れたしまったことを言っている。また、「物や思ふ」は恋しい相手のことについてあれこれと考えてしまうことを表している。
この歌は、西暦960年に村上天皇が開いた歌合せで披露されたものと伝わっている。歌合せとは歌の出来栄えを競う催しで、この歌と競い合ったのは百人一首の第41句にも選ばれている「恋すてふ〜」であった。どちらの句も良い出来栄えで甲乙付けがたかったが、天皇がこの歌をくちずさんだことから、この句の勝利となったという。

 
百人一首第39句 2024年12月31日(火) 21時21分  
このシリーズでは百人一首を順に解説していきます。
ゆくゆくは百首全ての解説を目指します。

[ 番号 ]
第三十九句

[ 歌 ]
浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど あまりてなどか 人の恋しき

[ かな ]
あさぢふの をののしのはら しのぶれど あまりてなどか ひとのこひしき

[ よみ ]
あさじふの おののしのはら しのぶれど あまりてなどか ひとのこひしき

[ 現代語訳 ]
茅萱がまばらに生えている篠原(しのはら)の「しの」という名前のように、耐え忍ぶけれども忍びきれない。どうしてこれほどまでにあなたが恋しいのだろう。

[ 品詞分解 ]
浅茅生【名詞】 の【格助詞】   小野【名詞】 の【格助詞】 篠原【名詞】   しのぶれ/ど【バ行上二段活用動詞「しのぶ」已然形+接続助詞】   あまり/て【ラ行四段活用動詞「あまる」連用形+接続助詞】 など【副詞】 か【係助詞】   人【名詞】 の【格助詞】 恋しき【シク活用形容詞「恋し」連体形】

[ 文法 ]
・古今和歌集「浅茅生の 小野の篠原 しのぶとも 人知るらめや 言ふ人なしに」の本歌取り
・上二句は「しのぶ」を導くための序詞

[ 読み人 ]
参議等 さんぎひとし [男性]
本名は源等(みなもとのひとし)と言う。参議は役職名。平安時代中期の歌人だが現代まで伝えられている歌は少ない。

[ 決まり字 ]
3字

[ 解説 ]
古今和歌集の歌を題材として、愛しい人を想う気持ちを詠んだ歌。第ニ句までは「偲ぶ」を導くための序詞であり、言葉遊びのようなもので特に意味はない。この歌で詠まれているのは好きな人が恋しくて我慢できないということだけなのだが、本歌取りや詞といった技法を使うことで、歌としての完成度を高めている。浅茅生とは茅萱がまばらに生えているところのこと、小野とは野原のこと、篠原は背の低い「篠竹」が生えている所を指す。具体的な地名ではない。

 
百人一首第38句 2024年10月31日(木) 23時59分  
このシリーズでは百人一首を順に解説していきます。
ゆくゆくは百首全ての解説を目指します。

[ 番号 ]
第三十八句

[ 歌 ]
忘らるる 身をば思はず ちかひてし 人の命の 惜しくもあるかな

[ かな ]
わすらるる みをばおもはず ちかひてし ひとのいのちの をしくもあるかな

[ よみ ]
わすらるる みをばおもわず ちかいてし ひとのいのちの おしくもあるかな 

[ 現代語訳 ]
忘れられる私の身はなんとも思わないが、私をずっと愛すると神に誓ったあなたの命が(神罰で縮んでしまうと思うとそれは)もったいないことであるよ

[ 品詞分解 ]
忘ら/るる【ラ行四段活用動詞「忘る」未然形+受身の助動詞「る」連体形】   身【名詞】 を/ば【格助詞+係助詞「は」の濁音化】 思は/ず【ハ行四段活用動詞「思ふ」未然形+打消の助動詞「ず」終止形】   ちかひ/て/し【ハ行四段活用動詞「ちかふ」連用形+完了の助動詞「つ」連用形+過去の助動詞「き」連体形】   人【名詞】 の【格助詞】 命【名詞】 の【格助詞】   惜しく【シク活用形容詞「惜し」連用形】 も【係助詞】 ある/かな【ラ行変格活用動詞「あり」連体形+詠嘆の終助詞「かな」】

[ 文法 ]
・二句切れ

[ 読み人 ]
右近(うこん) [女性]
平安時代を生きた女流歌人。生没年は不詳。右近は本名ではなく、父の官職名に由来する。醍醐天皇の中宮穏子に仕えた女房。百人一首第43句の詠人である権中納言敦忠とも恋仲で、この歌はその敦忠のことを詠んだものとされる。

[ 決まり字 ]
3字

[ 解説 ]
かつては相愛の関係であったが、心変わりしてしまった男性に対して詠んだ歌。心変わりされてもなお相手の身を案じる健気な女性の歌とも見えるし、心変わりした相手に対して皮肉を込めて詠んだ歌とも取れる。

 
百人一首第37句 2024年09月30日(月) 00時50分  
このシリーズでは百人一首を順に解説していきます。
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[ 番号 ]
第三十七句

[ 歌 ]
白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける

[ かな ]
しらつゆに かぜのふきしく あきののは つらぬきとめぬ たまぞちりける 

[ よみ ]
しらつゆに かぜのふきしく あきののは つらぬきとめぬ たまぞちりける 

[ 現代語訳 ]
白い露に風が吹き荒れる秋の野原は、真珠が紐でつながれずに散りばめられているようだ

[ 品詞分解 ]
白露【名詞】 に【格助詞】 風【名詞】 の【格助詞】 吹き【カ行四段活用動詞「吹く」連用形】 しく【カ行四段活用動詞「しく」連体形】 秋【名詞】 の【格助詞】 野【名詞】 は【係助詞】 つらぬき【カ行四段活用動詞「つらぬく」連用形】 とめ/ぬ【マ行下二段活用動詞「とむ」未然形+打消の助動詞「ず」連体形】 玉【名詞】 ぞ【係助詞】 散り/ける【ラ行四段活用動詞「散る」連用形+詠嘆の助動詞「けり」連体形】

[ 文法 ]
・「玉ぞ散りける」は係り結び。助動詞「ける」は連体形。
・白露を真珠に見立てている隠喩。

[ 読み人 ]
文屋朝康(ふんやのあさやす) [男性]
平安時代前期から中期にかけての歌人。百人一首第22句の文屋康秀の息子。歌人としては優秀だったようだが、生没年など詳しいことは伝わっておらず、残っている歌も三首と少ない。なお、それら三首は百人一首に選ばれた歌も含めて全て秋の歌である。

[ 決まり字 ]
2字

[ 解説 ]
野原に降りた露の美しさを詠んだ歌。露を真珠にたとえて、その美しさを表現している。「吹きしく」の「しく」は他の動詞の後ろにつくと「しきりに~する」といった意味の補助動詞となり、この歌では風がしきりに吹いている様子を表している。歌の中ではそこまで描かれていないが、おそらく風で動く露に光が反射してきらきらと輝いて見えたのであろう。その美しさを隠喩を用いて表現している。



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