忍者ブログ
古文自動翻訳研究センター 中学・高校の古文学習をパソコンにサポートさせようと試みるページ
サイト内検索  サイトマップ   文字サイズ変更方法
トップページ開発者ブログ >誤訳が多いですね(その3)
最終更新日 2024年10月31日 


◆ 誤訳が多いですね(その3)

 
誤訳が多いですね(その3) 2008年10月03日(金) 00時24分  
今回は、複数意味がある単語が原因の誤訳を例示いたしましょう。

宮沢賢治の作品の中に「雨ニモマケズ」という作品があるのはご存じの方も多いでしょう。その一節に

雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ

と言う部分があります。

その一行目、

雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ

の意味は、

雪にも夏の暑さにも負けない

ですが、

古文翻訳装置ちゃんに聞いてみると……


雪にも夏の暑さにもまけてしまう

……と翻訳されました。てか

えぇーっ、負けちゃうのかよ。
宮沢賢治さんごめんなさい。


さて、なんでこんなことになるのか、以下、古文の勉強です。

ちゃんと勉強している人はもうわかったと思いますが、これは「ぬ」の識別の問題ですね。宮沢賢治は「マケヌ」の「ヌ」を、打消の助動詞「ず」の連体形として書いています。しかしながら、古文翻訳装置ちゃんはこの「ヌ」を、完了の助動詞「ぬ」の終止形として訳してしまいました。

「ぬ」の識別のポイントは、「~まけぬ丈夫な体を~」のように「ぬ」の後に体言がつながっていれば打消の助動詞、「まけぬ。」のように文章が終わっていれば完了の助動詞という判断をすることです。古文翻訳装置でもその処理は取り入れているのですが、今回の文章の場合、

雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ

という具合に2行に分かれていたので、古文翻訳装置ちゃんは「マケヌ」で文章が終わっていると判断してしまったのでした。ちなみに「雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ丈夫ナカラダヲモチ」のように1行にしてやれば、正しく判断してくれるはずです。

「ぬ」の識別は試験でも頻出です。なんか記憶が……って人はこの機会に復習しておきましょう。


ちなみにですが、打消の助動詞「ず」の上の動詞は未然形、完了の助動詞「ぬ」の上の動詞は連用形ですので、未然形と連用形の異なる動詞は識別の問題になりません。たとえば四段活用の動詞だと「思はぬ(打消)」と「思ひぬ(完了)」のように、上の動詞の活用で判断できます。

ついでにカ行変格活用の「来」なんかが出てくるとちょっとややこしくて、「こぬ(打消)」と「きぬ(完了)」で読みが違いまが、漢字表記にすると両方とも「来ぬ」となってしまってこれまた識別の問題です。「来ぬ秋」の「来」の読み方を答えなさいなんていう変化球的問題も出題されたりします。この場合、「秋」という体言に接続している「ぬ」ですから打消の助動詞「ず」の連体形ということになり、打消の助動詞「ず」は未然形接続ですから、その上の動詞は未然形ということになります。つまり「こぬあき」と読むのが正解で、答えは「こ」となります。

あーややこしい。
PR

コメント(0) [コメントする]  

トラックバック() [トラックバックする]  


 

この記事にコメントする

個人情報は、必要な範囲内でご記入下さい。コメント本文以外は空欄でも構いません。
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
コメントは承認制となっております。投稿後しばらくして表示されます。詳しくは利用規約を御覧下さい。
 

この記事にトラックバックする

  この記事へのトラックURL :
トラックバックは承認制となっております。投稿後しばらくして表示されます。詳しくは利用規約を御覧下さい。



◆ 情報早見表

◆ 来客数

◆ カレンダー
2024年10月 2024年11月 2024年12月
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

◆ カテゴリー

◆ RSS

◆ ブログ内検索

◆ 月別索引




利用規約   推奨環境   個人情報保護   お問い合わせ トップページへ   最上へ

制作:古文自動翻訳研究センター

忍者ブログ [PR]