「美しき水車小屋の乙女」ってご存じでしょうか。「美しき水車小屋の娘」ともいいます。
「昔々のお話。ある粉ひき職人の若者が、旅先、水車小屋の娘さんに恋をしてしまう」…というシューベルトの歌曲集です。元々はドイツ語なので正式なタイトルは「Die schöne Müllerin」だそうです。英語だと、「The fair miller-maid 」というらしい。fair=公正な、miller=粉屋、maid=お手伝いさんというのが現代英語の意味なので多少違和感がありますが、古い英語でfairには美しい、maidには娘という意味があるそうで、これで正しいようです。
さて問題です。
美しいのは水車小屋と乙女のどちらでしょうか?
…常識的に考えたら乙女…かな。
英語を見てみると、fairはmiller-maidを修飾していると考えられますので、やはり美しいのはmiller-maid、つまり水車小屋の娘です。あ、millerは粉屋という意味なのにどうして水車小屋になるかといえば、昔は水車で粉をひいたからでしょうね、きっと。
ところが日本語を見ると、「美しき水車小屋の乙女」です。美しき水車小屋にいる乙女なのか、水車小屋の乙女が美しいのか、二通りの判断ができます。
以前の記事でも書いたのですが、ここにも曖昧さがあります。
この例は形態素解析のお話の上でよく出てくるみたいなので覚えておくと…得する、かもね。…いやあんまりしないかも…。
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