古文翻訳装置のプログラムの中で、比較的初期の段階で制作したのが助動詞を翻訳するプログラムでした。「~なり」だったら「~である」と訳出する機能を実現しているプログラムですね。
大学受験に望む高校生は、助動詞の意味と活用、そして接続を覚えないといけないんですね。「~なり」だったら「断定」「ラ変型」「連用形接続」と言うような感じに。
ただ、助動詞によっては連用形がなかったりとか活用が不規則だったりとか、いろいろ型破りなものがあって面倒くさい所です。この助動詞の後ろにこの助動詞は接続しないという決まりも多いです。たとえば「断定の助動詞なり」と「過去の助動詞けり」を「ハ行四段活用思ふ」にくっつける場合、「思ひけるなり」と「思ふなりけり」になります。用例は両方見られます。しかし、「打ち消しの助動詞ず」と「受け身の助動詞る(又は、らる)」が「ハ行四段活用思ふ」に続く場合、「思はざららる」とはならず、「思はれず」となります。
言いたいことを手短に言うと、「受け身の助動詞る(又は、らる)」は未然形接続ですから、「打ち消しの助動詞ず」の未然形「ざら」の後に接続してもいいはずです。しかしながらそれは間違いなのです。なぜかと言えば、昔の人がこのように使っていた形跡がないからです。古文の文法は、あとから偉い学者さんたちが考えたいわば後付のルールなので、そのルールに当てはまらないものも多いらしいです。結局、例文を一つか二つ覚えておかないと正しい接続は見いだせないんですね。
結局何が言いたいかと言いますと、最初にこの複雑な助動詞処理をたいして考えもせず作ってしまったために、古文翻訳装置の助動詞処理はきわめていい加減なものになってしまいました。
思は/ざら/らる【ハ行四段活用動詞「思ふ」未然形+打消の助動詞「ず」未然形+受身・尊敬・自発・可能の助動詞「らる」終止形:思わないだろれる】
↑「思はざららる」を翻訳した例です。きわめていい加減に訳してくれます。日本語になってません(笑)
思は/ざら/ざら/ざら/ざら/ざら/ざら/ざら/ざら/ざら/ざら/ざら/ざら/ざら/ざら/ざら/ず【ハ行四段活用動詞「思ふ」未然形+打消の助動詞「ず」未然形+打消の助動詞「ず」未然形+打消の助動詞「ず」未然形+打消の助動詞「ず」未然形+打消の助動詞「ず」未然形+打消の助動詞「ず」未然形+打消の助動詞「ず」未然形+打消の助動詞「ず」未然形+打消の助動詞「ず」未然形+打消の助動詞「ず」未然形+打消の助動詞「ず」未然形+打消の助動詞「ず」未然形+打消の助動詞「ず」未然形+打消の助動詞「ず」未然形+打消の助動詞「ず」未然形+打消の助動詞「ず」終止形:思わなくなくなくなくなくなくなくなくなくなくなくなくなくなくなくない】
↑こんなのもできます。文法的に誤りはないのです。こんな用例は見たことないのだけれども……。
おもは/ざり/に/けら/ざる/なり/に/けり【ハ行四段活用動詞「おもふ」未然形+打消の助動詞「ず」連用形+完了の助動詞「ぬ」連用形+過去の助動詞「けり」未然形+打消の助動詞「ず」連体形+断定の助動詞「なり」連用形+完了の助動詞「ぬ」連用形+過去の助動詞「けり」終止形:おもわなかっていなかったのであった】
↑あまりいじめないであげてください。古文翻訳装置ちゃんだって無い知恵をしぼって頑張っているんです。
これ、改良したほうがいいのでしょうか。今のところ予定はありませんが……。(と、言えば聞こえはいいのですが、実際すでに自分でもどんな仕組みで翻訳しているのかよくわからないので直しようがないというのが本音……)
ほかにも動作に問題有りましたら当センターまでご報告ください。できる限り正確な訳ができるよう、古文翻訳装置を改良するなどして対応いたします。あくまでもできる限り……なのですが……すみません。
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