[ 品詞分解 ]
秋【名詞】 の【格助詞】 田【名詞】 の【格助詞】 かりほの庵【名詞】 の【格助詞】 苫【名詞】 を【格助詞】 あら/み【ク活用形容詞「あらし」未然形+接尾語】 わ【名詞】 が【格助詞:の】 衣手【名詞】 は【係助詞】 露【名詞】 に【格助詞】 濡れ/つつ【ラ行下二段活用動詞「濡る」連用形+接続助詞】
[ 文法 ]
・「かりほ」は、刈り取った稲穂と言う意味の「刈り」と仮に作ったと言う意味の「仮」との二つの意味を持つ掛詞。
・「苫をあらみ」は「(名詞)+を+(形容詞の未然形)+み」の形で「~が~なので」という意味になる重要構文。
・「濡れつつ」の「つつ」は和歌の文末で用いられると、「~なことだなぁ」としみじみと感じ入っている気持ちを表す。
[ 読み人 ]
大化の改新で有名な中大兄皇子と同一人物。中臣鎌足と一緒に蘇我氏を滅ぼした。余談だが、大化の改新が起こった年の645年は「無事故で達成大化の改新」と覚えよう。京都府山科に御陵(お墓)がある。この歌は田んぼの見張りをしている設定だが、天皇ともあろうお方がまさかそんなことをなさるはずもない。おそらく御幸(天皇のお出かけ)の際に田んぼの様子をご覧になり、田んぼの番をする農民の心持ちを想像して詠んだのだろう。
[ 決まり字 ]
3字
[ 解説 ]
記念すべき百人一首の第一句。収穫された稲穂はすぐに田んぼから回収するのではなく、しばらく天日に干して水分を飛ばす。その間に鳥や獣に荒らされないよう、当時は24時間態勢で警備をしていたようである。その警備の任についた農民の心持ちを詠んだ歌。しっかりした警備員室があるわけではなく、苫(スゲやカヤといった草)で作った粗末な小屋で一晩中番をしていると、その隙間から夜露がしたたり袖を濡らす。その様子にしみじみとした趣を感じ取った歌である。
ふう。これで二〇一二年四月も更新ゼロは免れた。
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