一つ前の記事で「静かです」が形容動詞であるというのは、学校文法に基づいています。
ただ、わざわざ形容動詞という概念を作り出さなくても、「静か」という名詞と「です」という助動詞に分けて何が問題なのか。
いちおう、学校文法では次のように説明します。まず現代語のお話。
形容動詞の定義は、物事を「形容」するものなので、様子や状態を表す語句である…という定義です。
形容動詞の例
静かだ、きれいだ、高価だ、清潔だ……
形容動詞でない例(名詞+助動詞)
山だ、空だ、新緑だ、白だ……
見分け方は、上に副詞をつけるというものです。
○ とても静かだ。
× とても山だ。
副詞とは程度を表すものなので、形容動詞とは結びつきますが、名詞とは結びつきません。
まぁ、「もっと前だ」とか「もっと上だ」とかの「前」「上」は形容動詞ではないのですが…例外かな?
「とても前だ」という日本語はおかしい気がするので、この見分け方につかうのは「とても」がいいかもしれません。
さて古文のお話。
古文なら、副詞である「いと」をつけてみればいいですね。基本的に現代語と同じです。
○いと静かなり。
×いと山なり。
だから、品詞分解で「いと/静か/なり」とやると間違いです。「いと/静かなり」ですね。
「こそ」の結びを答えろって問題で、「さこそいと静かなれ」って例文があったとすると…
…「静かなれ」が正解です。形容動詞「静かなり」が一語だから。
ああ、私も「なれ」って答えて間違えた記憶が…
文法は、元々存在した日本語をなんとか規則を見いだしたもの、いわば後出しのルールです。
矛盾があって当然、例外があって当然。嫌いになるのもうなづけますよね。
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