風立ちぬ。いざ生きめやも。
「風立ちぬ」というのは堀辰雄氏の書かれた小説の題名で、私が好きな小説の中の一つです。
同名の宮崎駿監督の映画とか、松田聖子さんの曲もあり、こちらはこちらで好きだったりしますが、今回は小説のお話。
その小説の中に「風立ちぬ。いざ生きめやも。」というような一節が出てくるのですが、これを古文翻訳装置にかけて品詞分解させると以下のような形になります。
風【名詞:風】
立ち/ぬ【タ行四段活用動詞「立つ」連用形+完了の助動詞「ぬ」終止形:立ってしまう】
いざ【感動詞:さあ】
生き/め/や/も【カ行上二段活用動詞「生く」未然形+推量の助動詞「む」已然形+終助詞「や」+終助詞「も」:生きるだろうか】 。
完璧な品詞分解ですね、そりゃあそうです。好きな小説に出てくる一節だからちゃんと品詞分解できるように調整したんだから(いわゆるチート
全く関係ありませんが、「きしゃのきしゃはきしゃできしゃした」とパソコンなどに入力して変換すると、「貴社の記者は汽車で帰社した。」というように、ちゃんと意味が通るように変換できると思います。これを「きしゃにてきしゃがきしゃへときしゃする」なんて入力すると「貴社にて貴社が貴社へと帰社する」と、途端に意味が通らなくなります。入力したい意図としては「汽車にて記者が貴社へと帰社する」です。つまり何が言いたいかというと、よっぽど有名な文章なら事前に対策してしまえばそれなりに訳せるわけです。古文翻訳装置に入力される文章は擬古文を除けば数百年前に書かれた文章ですから、正直対策はしやすい気がしています。全然時間が無くて出来ていませんけど…。
さて、話がそれましたが「いざ生きめやも」の部分の訳について、これは元々フランス語で、私はフランス語の知識が無いのでそこは分からないのですが、堀辰雄氏が誤訳したのか意図があったのかはともかく、少々フランス語の意味とは違った日本語訳になっているようです。「めやも」という言い回しは、品詞分解は上記のとおりで、意味としては「~だろうか、いや、違う」です。つまり「生きるだろうか、いや、生きない(死のう)」となるわけです。これにどんな意味があるのかは堀辰雄氏のみぞ知るところなのでしょうが、とりあえず、風立ちぬは文章が綺麗で良い作品だと思いますので、是非皆さんにも読んで欲しいなあと思います。文語調で書かれているわけではないのでそこは心配ありません。
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